青年海外協力隊として、ミクロネシアのヤップ島に派遣中社員の日記。
インフォニック、ヤップ支社長を僭称しつつ活動中。

※僭称:勝手に身分を越えて上の称号を自称すること(広辞苑より)

公開日:2010.04.20

1年過ぎて

1年過ぎて

ヤップに来て、活動を始めて1年が過ぎました。早かったような、短かったような‥‥。今回はここまでの活動を振り返り、これからの活動について考えてみたいと思います。

活動の概要

あらためて、活動の概要を。

活動場所は、ヤップ州政府 総務局 財務課 コンピュータセンター。コンピュータセンターの主な業務は3つ。

1つは、財務系サーバの管理---ヤップ州政府の財務業務(予算管理、支出管理、税管理、給与計算など全て)を一括で管理しているシステム(KINTERA Fundware)が導入されていて、その保守とメンテナンスを行っています。ヤップに民間企業は少なく、公務員の給料がヤップで出回っているお金の大きな割合を占めており、この財務系のシステムが破綻すると、ヤップ経済に影響が出てしまいます。実際、僕が赴任する少し前、財務系サーバが故障し、数ヶ月、職員の給料の支払いと州政府から民間企業への支払いがストップして大騒ぎのなったそうです。ちょっと信じられません。こんな重要なシステムでありながら、サーバは1台きりでこいつが故障した場合のことが全く想定されていないのが、最大の問題です。

2つ目は、州政府建物全体のネットワークの管理と改善。コンピュータセンターは、総務局 財務課の下に位置しながら、州政府建物全体のネットワークを管理していて、知事室や司法局、予算編成局などなど他局の面倒も見ています。この不自然な組織の構造のせいで、しばしば問題が発生するので、「コンピュータセンターを総務局から独立させるべきだ」という議論が度々起こるのですが、各部局のちょっとした利権が絡んで中々、実現しません。小さくても政治問題なので、僕にはどうにもできません。

3つ目は、他の州政府設備のITに関する相談への対応。ヤップにIT専門の施設は少なく、技術者もほとんどいないため、裁判所、州議会、警察など、他の州政府関連施設から寄せられるITに関する相談への対応も、コンピュータセンターの重要な業務です。

コンピュータセンターのスタッフは2名。マネージャーのユージンさんと、アシスタントのカルメンさん。この二人が共に業務を行う同僚です。

最近、3人で撮りました。右からユージンさん、カルメンさん、タカシ。巨漢と坊主に挟まれたカルメンさんが若干、気の毒になった。

州政府ビルでネットワーク参加しているコンピュータは約80台(参加してないのも合わせると100台ぐらい)。僕が4代目のボランティアで、僕が着任したとき、既にネットワークのインフラは一通り整っていました。あちこち、ネズミが食いちぎってたけど。

ここまでの活動

先述した業務のうち、僕は主に2番目と3番目を担当しています。去年の1月に赴任して以来、

1. WindowsNTドメイン⇒Windows2003Serverへのドメインの移行。
2. 老朽化した財務系サーバの入れ替え。
3. ウィルス対策ソフトの変更(Symantec⇒ESET)

 僕が着任した時は、SymantecEndpointを使用していたのですが、ライセンスを紛失してソフトウェアのアップデートができない状態(こっちは、大切なライセンスの書類とか、ドライバのCDとか、やたらと紛失します。信じられません)だったのと、Endpointがあまりに重くて業務の妨げだったので、思い切ってESETに代えました。今のところ、ええ感じです。

4. プロキシサーバーの構築(Squid3.0)

 インターネットの接続を早くすることが主な目的ではなく、DHCPサーバとの組み合わせでインターネットのユーザーを制限、アクセスを監視することが目的です。たった256kbpsのT1ライン回線を多数のユーザで分け合っているので。

5. UTMの導入(SonicWALL)
6. バックアップシステムの構築
7. 裁判所にWindowsドメインネットワークの構築
8. 州議会のネットワークとセキュリティの見直し

などを行いました。こうやって、書き出してみると「1年もおって、これだけか」と我ながら情けなくなります。僕が生粋のネットワーク技術者ではなかったことも大きいですが、ボランティアという立場上、僕一人が理解して業務を進めるだけでは意味がなく、同僚に理解してもらい、できれば同僚の手で実行してもらいたいところに活動の難しさがあります。相変わらず、英語苦手やし。

もう1つ、活動の妨げになるのが、毎日のネットワークユーザからの相談、というか呼び出し。ネットワークに関するトラブルならば仕方ありませんが、「プリンター接続して」とか「Yahoo Messengerの使い方、教えて」とか「ゲームをインストールして」とか「音楽が再生できん」とか「携帯電話の設定の仕方が分からん」とか、、、あまりうれしくない用件でやたらと呼び出されます。こんな対応だけで1日つぶれたりすることも多く、そんな日は意気消沈します。

一番、印象に残った活動

去年の11月12月に、全職員を対象にした「セキュリティリスク講座」を開催しました。こっちのネットワークユーザはセキュリティに関する知識に乏しく、特にUSBメモリーによるウィルスの蔓延が止まりません。そして、知識が乏しいが故に、何でもウィルスのせいにします。ファイルの保存先を忘れただけのくせに「ウィルスにやられた!」と騒いだり、誰かが大きなファイルをダウンロードしているせいでインターネットの接続が遅いときも「ウィルスかな?」と内線をかけてきたり。。。

そこで、セキュリティリスクの感染/侵入タイプ別(USBメモリーとか、改ざんWebサイトとか、パスワード攻撃とか、セキュリティホールとか)に、感染/侵入方法と対策を解説するセキュリティリスク講座を開催することにしました。協力隊の活動には、主に教室で生徒に何かを教える「教室型」と、職場で共に働きながら同僚を指導する「職場型」の2つがありますが、僕はこてこての職場型です。なので、このような講座を開催するのは初めてです。英語です。英語で2時間喋っりっぱです。

講座の様子

結果は上々でした(だと思う)。僕の英語は相変わらず不思議でしたが、皆、日頃、ウィルスに悩まされているため、とても熱心に聞いてくれて、質問も沢山してくれました。そしてアンケートにも「もっとコンピュータの知識を身につけたい」といったことが沢山、書いてありました。USBとかの扱いも多少、変わった気がするし、ほんまにやって良かったです。

これからの活動

これから残り1年の活動に入りますが、後半の最も大きな仕事は、他州の政府ビルのネットワークの構築とそれらの州政府間をつなぐVPNの構築です。

ミクロネシアには、僕のいるヤップ州以外に、チューク州、ポンペイ州、コスラエ州の合計4つの州がありますが、ヤップ州政府以外の州政府は、場当たり的なネットワークが組まれているだけで、不便と不備が生じているそうです。そこで、他の3州もサーバーを購入し、ヤップと同じように管理しやすいネットワークを構築し、その後、各政府のLANをVPN接続して、データのやりとりができるようにしようというプロジェクトが立ち上がり、現在、デザイン中です。各州にネットワークを管理できる人がいない等、問題山積ですが、できれば僕の任期中に終えたいと考えています。

また、ヤップ州政府ビルのネットワークについては、サーバーのWindowsServer2008への移行と、クライアントのWindows7への移行が一番、手間のかかる業務になると思います。それ以外にも、既存LAN回線の整理や、ドキュメントやライセンスやソフトウェアの管理方法の見直しなど、地味な?業務もしっかり行って、同僚だけでネットワーク運用が行える状態まで持っていきたいと思います。あと1年、がんばります。

ステイ先の村のビーチです。全く関係ありません。